2008年7月21日月曜日

寺田澄史 志摩聰 折笠美秋 大岡頌司 高柳重信

寺田澄史の製本に対するポリシーとそれを支える技術は言葉では語れない。現物を手にして触り撫で目で見て初めて納得できる。一つの工程も省くことなく、総革装、天金等の見える所以外の書物本体の堅牢さ、ノドの開きの良さが確保されている。勿論、平の皮革、天の金箔の扱い背バンド等を含め、必要な道具は自作し見事な仕上がりだ。

加えて義理人情に厚く師匠、同人、知人友人のために製作した本は数知れないが、印象に残るもの。

難病を患い身動きできず寝たきりとなった折笠美秋のために、彼のために製作したもの。

「火伝書」(伝は正字) 折笠美秋 平成元年 騎の会 7,000円 限定108部
  騎の会は高柳重信没後「俳句評論」は終焉したが、最後の同人数人で始めた会。製作には阿部鬼九男、牛島伸、坂戸淳夫が参画。

志摩聰の句はあまりにも意味不明の面白さのために取り憑かれてしまった、作品集としての各
句集も一つ一つが意匠を凝らしたものだ。死後の刊行となった全句集。

「志摩聰全句集」志摩聰 2004年 夢幻航海社 8,000円 限定75部 
 編集は岩片仁次、坂戸淳夫、寺田澄史。

志摩聰の句集に「ちんちくりん男爵」昭和38年がある。男爵は爵位の順でいけば公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵と一番下位である。それはともかく志摩聰から男爵なる爵位が発せられると、すぐに高柳重信「俳句評論」同人代表の句集を連想する。
志摩の男爵句集上梓より先に、男爵より上位の伯爵句集「伯爵領」が先行している。
高柳重信は時に大宮伯爵となり山川蝉夫となる。

「伯爵領」高柳重信 昭和27年 黒ミサ(漢字)発行所 200円 限定100部

大岡頌司は端渓社を興し、手フート印刷機による手作り出版を始めた。のちに「俳句評論」を離れるにしても、第一作は三橋敏雄の「眞神」
これは和紙による良い装丁のものだ。更に後、NHKだったと思うが美しい本を作る人として紹介された。

「大岡頌司全句集」大岡頌司 2002年 浦島工作舎 8,000円
 編集は岩片仁次 酒巻英一郎 高橋龍 安井浩司


美しい本という物としての書物に興味を惹かれ製本技術習得を夢見たときがあった。


「図説 本と人の歴史事典」高宮利行 原田範行 柏書房 1997年初版2刷 8,900円 


「美しい書物の話 FINE BOOKS」アラン・G・トマス Alan G Thomas 小野悦子訳 1997年 晶文社 2,700円

アマゾン バイーア

昨日の夕食は数人の知人と共にしたが、それぞれちょっとした秘境好きだった。
一人はアフリカ好きが嵩じてキリマンジャロを登頂し、一人は夫婦でマチュピチュを見てきたそうだ。

マチュピチュで思い出すのは30年以上前にエーリッヒ・フォン・デニケンのいくつかの本を読んだことだった。要するに人類は宇宙から地球上に降り来た高度化された文明を持つ何物かから、文明を授けられた太古の遠い記憶があるという。
その証拠に世界の巨大遺跡は天を目指し、クスコの地上巨大絵は宇宙の彼方の何物かの再来を待つ合図というものだったと思う。
そして出土品など異形の人間をかたどったものは、実は天空から来た彼らの姿で、大きな球体の頭部、ギョロ目は宇宙飛行士のヘルメットという訳だ。
ガガーリンのヘルメットは球体だったが最近の宇宙飛行士のヘルメットは必ずしも球体とは言えない。デニケンのヘルメット観は1960年代の代物かもしれない。

そしてもう一人は来週から何回目かのアマゾン行きだという。
デニケンの本はさすがに書架の奥の奥で引っ張りだせなかったが、アマゾン関係の本を出して
みた。


「悲しき南回帰線上下  TRISTES TROPIQUES」レヴィ=ストロース CLAUDE LEVI-STRAUSS 室淳介訳 1985年初版1885年16刷 講談社学術文庫 上900円下1,000円

大湿原の生態系の聖地をルポと帯に書いてある

「パンタナール」中隅哲郎 1990年 無明舎 1,550円

インディオの人類学的研究も環境問題も重要ではあっても、読み物の楽しみはちょっと違う。気軽なガイドブック的のものでないと。

「大アマゾンを遊ぶ!」ロマン・トゥルスキ 晝間勝子訳 1990年 メタモル出版 1,200円

アマゾン関係の本というとストロース以外は冒険探検記、ちょっと変わった旅行記といったものになる。

「アマゾンの船旅」地球の歩き方・紀行ガイド 文 高野秀行 写真 鈴木邦弘 1991年 ダイヤモンド・ビッグ社 1,680円

秘境体験記はあまり興味が無いのだけど

「とにかく、しつこくアマゾネンブリナ ギアナ高原ひとり旅」敷島悦朗 1992年 講談社 1,400円

マナウスの生活ぶり

「新宿発アマゾン行き」佐々木美智子 1994年 文藝春秋 1,400円

人類学的なアマゾン。レヴィ-ストロースの名著から半世紀後、見たものはということだ

「ブラジルの記憶」川田順造 1996年 NTT出版 1,500円

環境破壊もの
「アマゾンには森がない」原後雄太 1997年 実業之日本社 1,700円

出版物を見る限りアマゾンは残された秘境、大自然といったものと、大規模の環境破壊の最前線のイメージなのだろう。それほど興味をそそられるものはない。

あまり人間が主役になり得ないからだろうが、インディオを除くとだが。先住民を除く主人公は西アフリカからの直行便が奴隷を積んで到着した最初の窓口だったということから、バイーアの音楽は興味が尽きない。
Clara NunesにTres Racasがある。三種の血という意味だろう、Indio,Negro,Blancoでも主人公は黒い人になる。
リオやサンパウロしか知らないがこっち、バイーア方面ではエスコーラではなくブロッコではなかったか。昔の知識で忘れてしまったが。Filho de Gandyなど。

「バイーア・ブラック ブラジルの中のアフリカを探して」板垣真理子 1997年 トラベルジャーナル 2,000円

付け足しのようになるが、まあ一種の放浪記として

「アマゾン音楽漂流記」のなか悟空 1992年 情報センター出版局 1,450円