美しい本を造りたい、というのは正確ではなかった。造本を習いたいというのが正確だ。美しい本は確かに魅力あるが、書物の外回りを飾るだけで基本構造が手抜きでは昨今の建築物と変わらない。手抜きをしない堅牢な造本を習いたく先生に何度もお願いをした。
知人がティニ・ミウラに製本を依頼したことがあり、この時一緒にミウラのアトリエを訪ねた。ミウラの造本は素晴しく装幀は美術工芸品であるが、知人から聞いた費用は、記憶があやふやだが一册100万円位だった筈だ。知人の依頼品は湯川書房の俳句か短歌の叢書で5〜6ミリ程度の厚さの物だったので80万円位だったかもしれない。
この手の本を作りたかった訳ではない。
「美しい本 製本装幀芸術入門」ケルスティン・ティニ・ミウラ 1982年 求龍堂 3,300円
本好きは古書店好きでもあり、出張の度に古書店巡りを行く先々の都市でしたものだった。古書店の情報を読むだけでも興味は尽きなかった。
「世界古本探しの旅」萩野アンナ 瀬戸川猛資 和田忠彦 越川芳明 池内紀 野谷文昭 浅野素女 1998年 朝日新聞社 3,200円
今日、BS日テレの世界紀行でポルトガルをやっていた。今では平凡な目立たない小国のポルトガルだが宮殿、教会内部の豪華な装飾を見ると、新航路開拓による富の移転を改めて思わざるを得ない。
陸路の運送者に莫大な金を払い彼らを富ませていた欧州勢が、海路確保により直接物資を持ち込むことに成功し富を蓄積したことは、陸路運送者の利益を減少させ、相対的、絶対的な富の格差を実現させた。
富の差は軍事力の差に反映する。「帆船と大砲」の大砲は文字通り武器としての大砲であるが、軍事力の象徴としても理解できる。キリスト側とイスラム商人のパワーバランスが崩れたといえる。
後のポルトガル、エスパニアで世界を二分割して中南米を石器時代に戻した略奪、この始まりがエンリケ航海王子とされている。番組でもエンリケの銅像を映していたが顔を見て驚いた。思い込みで王子というからには丸顔の柔和な顔と勝手に決め込んでいたが、銅像の顔つきは海賊の親方のものだった。
海賊物も色々あるがネタ本が限られているのでどれも大同小異。オスマン帝国は陸の帝国ではあるが地中海を19世紀まで仕切る海賊でもあった。欧州勢から見れば海賊だった。
「オスマン帝国」鈴木ただし(草冠に重)1992年 講談社現代新書 300円
「海の冒険者たち」中田一太 1990年 新紀元社 1,650円
航海に難破、漂流はつきもので洋の東西を問わずこの手の読み物は多い。日本のもとして
「環海異聞」大槻玄澤 大槻玄幹 大友喜作解説校訂 昭和47年 北光書房 2,000円
「異国漂流奇譚集」石井研堂編 昭和46年 新人物往来社 1,600円